top of page
白い部屋円.png

 「円」は最も単純で完璧な図形です。また最も古き理が現れている唯一の図形でもありいつの時代も最上位の象徴として扱われます。何故にそう定義されるかについてをこれから順にご説明申し上げてゆきます。まずはこの世の根本原理から始めましょう。

 

​個は全、全は個

 物質が形を成すには必ず正負の「対」が必要です。天地、左右、裏表、光闇、男女、雌雄など必ず「対」で成り立ちます。この対になる「正負の個」の拮抗状態で安定し「一つの物質」「全」として顕現します。現れた「全」はスケールを変えればまた個であり、次の全の一部です。個は全、全は個。最も根本的な原理であり様々な宗教体系で象徴化されている理です。例えば、

三位一体.jpg

 東の道教では白黒の勾玉で正負の「個」の拮抗状態を表し、包括する円で「全」を表します。数式に置き換えるなら「(+1=−1)=1」となり、正負の拮抗状態で「1」の個が成り立つと表せます。人間に置き換えますと、「個」の精神と「個」の肉体の拮抗状態で人間という「全」が成り立ちます。地球に置き換えますと、太陽が作り出す「昼」と月が作り出す「夜」の拮抗状態で「一日」という「全」が成り立ちます。

 

 西のキリスト教では「三位一体」と表されます。父と子と聖霊の三位一体とあやふやに語られますが数式で見ますと道教と同じ原理を示していることが伺えます。キリスト教の三位一体を数式に置き換えますと「1+1+1=1」となります。人間に置き換えますと、「父」と「母」と「子」の繰り返しで人生が成り立ちます。地球に置き換えますと、「朝」と「夜」と「昼」で「一日」が成り立ち永遠に繰り返します。

 どちらも示すことは、正負を持った対の個の拮抗状態で全となる個が成り立ち、その個がまた対になり拮抗状態を生み新たな全を生み出す繰り返しの原理を伝えています。もう少し簡潔にしますと、道教は「(+個=ー個)=全」であり、キリスト教は「個+個+個=全」となります。どちらも「つで1つになる」原理を示しています。重ねて述べますがこれらは永遠不変の原理です。永遠普遍だからこそ完璧で、故に理と定義されます。

 

 この普遍の原理を単独で表す最も単純な図形は円です。

円三位一体.png

 円は単独の三位一体で形をなします。中心点、半径、円周の最も単純な三位一体で「円」という形を形成するという事。中世の修道士アタナシウス・キルヒャーが「円」を「孤高なる三位一体」と呼んだ理由でしょう。そして、円を定義するこの三要素は更にそれぞれが理を表します。

​ 「中心点」は言わば「種」であり「核」です。円を描く最初の一手中心点を決める事。また、円に限らず全ての図形の最初の一手であり、全ての幾何学図形は円の中に内包されます。(下図参照) 即ち、形あるもの全ての始まりは点であるという事。また、単独の3位一体で形を成す円の中で初めに生まれる図形は「3角形」で、円周率は「3.1415....」です。

円と無限.png

 始まりの点が無ければ何も生まれません。逆に言えば、何かしらの物質(円)が存在するなら、その中心には必ず種(点)が存在するという事。この世は「結果」の世界。結果があるなら「原因」が存在するのが道理。全てのものは中心点という原因があり、円周という結果で形をなします。例えば原子。原子核とその回りを決まった軌道で周回する電子により原子が成り立ちます。

 例えば太陽系。太陽を中心に決まった軌道で惑星が周回し太陽系が成り立ちます。

 

 例えば銀河。銀河の中心のブラックホールの回りを決まった軌道で星々が周回します。​

太陽系.gif
銀河.gif

 中心点は「無」や「無限」とも呼ばれます。考えてみてください。地球は太陽を中心に回っています。太陽系は銀河を中心に回っています。銀河は超銀河団を......と無限に繰り返してゆきます。これを繰り返してゆくと最終的には宇宙の中心点、始まりの点に行き着きます。この始まりの点は「無」に生じた最初の力です。言うなれば宇宙のコア。この始まりの点が全ての源です。ここで概念の項でも引用しましたニコラ・テスラの言葉を再度引用します。テスラの言う「源」が「点」です。

宇宙には知識と力と閃きの源たるコアがある。私はまだその秘密に到達したことがない。しかし「宇宙には源がある」という事、それ自体は知っている

ニコラ・テスラ

 「半径」は点と円周を結ぶ最も効率の良い直線です。そもそも、円は最小の周囲で最大の空間を囲っています。また露出が最も少ない最大の囲いとも言えます。故に中心点から円周までの半径はどこを取っても最も効率の良い直線となります。

 

 自然界において物質は急に大きくはなりません。必ず順を追って成長してゆきます。 その成長過程において最も効率の良い手段を選び自己相似を経て成熟し、成熟期になると自己複製し種を繋ぎ、やがて衰退し無に帰ります。この最も効率の良い生命の成長も永遠普遍の理であり、円の半径である「最も効率の良い直線」に現れています。

生命の循環.jpg

 「円周」は「時間」「循環」「無限の繰り返し」を表します。先にも述べたことと重複になりますが、「成長・成熟・衰退」の繰り返しは生命の理です。またスケールを落とし個別で見ても全ての物質は誕生した時から回っており消滅するその時まで回り続けます。例外は無く、この世に存在するもの全てが従うルールです。換言すれば、全ての物質はどのスケールにおいても「周期性」を持って「回っている」という事。

「人間はそんなクルクル回ってないじゃないか」とお思いですか?あなたを構成する元素をまとめた表は「元素周期表」って呼ばれていますでしょ?我々自体は回ってはおりませんが、目に見えないところで回転しているのです。その影響はツムジや指紋に渦となって現れています。なぜ円環が渦になるのかと申しますと、円を用いて述べているのは単に理解しやすいからで、実際は球です。2D表現での円は3D表現では球です。その球はただの球ではなく、その内部で渦状に力を循環させた球です。故に、円の力は3D空間において渦状で現れます。

 ではここまでをまとめます。円が最も単純で完璧な図形と言われる所以は、「最も古き理」が簡潔にそのまま現れ、かつ単独で形を成す唯一の図形だからです。三位一体は円を構成する中心点・半径・円周の「最も単純な三要素」に現れ、この三要素は更なる理を表します。原因と結果の関係は「中心点と円」に現れ、最効率で成長する生命の成長過程は「最も効率の良い半径」に現れ、全てのものが従う「時間」「周期性」「循環」「繰り返し」は円周に現れています。これらを理解し、もう一度俯瞰して眺めてみれば、最も根本的な三位一体が見えると同時に絶対に逃れることのできない周期性も見えるはずです。

誕生・成熟・死

 

 壮大な宇宙の始まりの点からどれほど離れているか分からない地球上の我々まで、簡潔に言えばマクロからミクロまで、全てのものが従うこれらの理を中世の錬金術師は短い言葉や象徴的な絵でこう残しました。

As Above So Below

上の如く下も然り

作者不明

uesita.png
innen2A.gif

 この世に唯一の存在のものは総じて「理」に直結しています。特にそれらは数や図形に顕著に現れます。単純であればあるほど深遠な意味を含み、読み取るものの知恵を試します。これまでに述べてきた円の特性と理との繋がりを理解するにつれ痛感なさったはずです。目の前にあっても知らなければ見えていないも同義。ここからは円についての理解をより深める為に、更にその特性に焦点を当ててまいります。前述の円を構成する3要素のように「この世にこれしかない特性」が現れます。またその特性は以下のダヴィンチの言葉の理解に繋がります。

あらゆるものは、他のあらゆるものと繋がっている

レオナルド・ダ・ヴィンチ 

  • 円は点の自己相似です。つまり宇宙の始まりの力の写しが円です。数字で示すなら「0」が無に生じた最初の点であり「1」がその写しの最初の円であり無限です。

  • 円の周の角度は360度と定義されています。この360という数は非常に調和的な数であり、24個もの数で等分できます。

1 . 2 . 3 . 4 . 5 . 6 . 8 . 9 . 10 . 12 . 15 . 18 . 20 . 24 . 25 . 30 . 36 . 40 . 45 . 60 . 72 . 90 . 120 . 180

  • 数の本質を表す0〜9までの数は、「7」を除いて全てが360の因数です。(上記数列下線部)

  • 除かれた「7」で360を割るとその値は51.428....で、Gizaのピラミッドの斜辺に埋め込まれています。

360/7 = 51.428....

ピラミッドの斜辺 = 51.51

  • 植物の葉の開度いわゆる「葉序」は137.5°であり数式では 360 ÷ 1.618 ÷ 1.618 = 137.5

  • この137.5°の反対側の角度は360 - 137.5 = 222.5

  • ​この222.5はこうも書き表せます。360÷1.618 = 222.4969....

  • 古代のカレンダー(ペルシアカレンダーなど)は一年を360日と定義していました。闇夜の星が一日に一度づつ北極星の周りを回っていることからそう定義したと考えられます。

151429310746207774180_20171221_R.jpg
  • 円の直径と円周の比率は3.141592....であり「円周率」「π」「Pai」と表されます。

  • 円周率は小数展開が無限に続き、かつ循環しない無理数です。

円周率と不思議.png
  • 数の初めの3つの数は足しても掛けても完全数「6」です。​1+2+3 = 6 = 1×2×3

  • 円周率の小数点第一位から3つの数の合計は完全数である「」です。​1+4+1=6

  • 円周率の小数点第360位から前のつの数は360です。

  • 円周率の小数点第762位から767位はファイマンポイントと呼ばれが連続で回繰り返します。

  • 円周率の小数点第51位から99位までの合計は「233」です。

  • 小数点第1位から第144位までの合計は「666」です。

  • 144はフィボナッチ数の12番目、23313番目の数です。

円周率と6666.png
  • 地球が太陽の周りを1周する期間は「12ヶ月です。

  • その間、月は地球の周りを「13周します。

円周率と1213.png
  • 直径が13の円に内接する五芒星の弦の長さは「12.364」になります。この数字に朔望月29.5日を掛けますと364.738 となり1太陽年365日の近似になります。

12.36 × 29.5 = 364.738

  • 5:12:13のピタゴラス三角の5の辺を黄金比で分割し(2:3)対角に伸ばした線の長さは「12.369」です。上記の数字と小数点第2位まで同じですが、第3位が「9」になるとその特別さが一層増します。

12.369 = √153

  • ピラミッドの底辺と高さの比は11:7でありこの数は以下のようになります。

11 ÷ 7 ≒ π ÷ 2

  • 神が話した言語と言われるヘブライ語は22文字。神聖数は

22 ÷ 7 π

邪悪な魔女.png

 現代の魔女と呼ばれたHelena・P・Blavatskyは自身の著書「The Secret Doctrine」で以下のように述べています。

  • 秘教的な意味を発見するのにまず考慮に入れねばならないことは、ヘブライ語の22文字がそれぞれの数に相応すると言うことである。ゲマトリアと言う方法で、言葉の数学的価値を分析する。例えば、「創世記一章一節」で神と訳されるエロヒム(ALHIM)の場合、ALHIM = 1.30.5.10.40 である。エロヒムの名からゼロを取り除いた「1.3.5.1.4」を円の中に置くと「3.1415」即ち円周率の「π」と読めるようになる。

  • 円周率に関するもう一例をあげると、「年」はヘブライ語で「ShNH」である。Sh = 300、N = 50、H = 5 だから総計は「355」になるが、ユダヤの陰暦の一年は355日である。「人間」即ち「ALSh」の数学的価値は「311」あるいは「113」である。3桁の数の比率の中で円周率に一番近いのは「355:113」である。

 355 ÷ 113 = 3.141592....

マンリー.jpg

 では最後に、Manly・P・Hall著『カバラと薔薇十字団』内の『カバラ的宇宙創生論の根本原理』を抜粋・引用します。表題の通りめっちゃ難しい文言から聞きなれない名前などが飛び出してきますが、それ相応の理解が得られることは確かです。では「円」の項、最後の引用を始めます。

  •  カバリストは「最高神」を「認識不可能な原理」と考える。それに出会う為には、あらゆる認識可能な属性を次々と剥ぎ取っていく過程をたどる他ない。認識し得るものをことごとく取り除いた時、なおそこに残っているもの、それが「アイン・ソフ」である。

  • アイン・ソフ」はあらゆる事物の無制約的状態と言ってよいだろう。実体・原質・叡智はアイン・ソフという不可思議な世界から顕現世界へ現れ出たものに他ならない。だが「絶対者」そのものは、実体もなく、原質もなく、叡智もなく存在する。

  • アイン・ソフ」をカバリストたちは「あらゆる古き者のうち最も古き者」と呼んでいる。それは常に性別のないものと考えられており、一つの閉じた目がそれを象徴する。「アイン・ソフ」については、それを定義する事は、それを冒涜することに他ならないと言われているが至言である。にも関わらずラビたちは、「アイン・ソフ」はどのように「それ自身」から創造を繰り出していくかについていくつかの理論を根本原理として想定してきた。同時に、この「絶対的非存在」に対して、少なくともその力だけは言い表せるある象徴を仮に定めた。つまり「アイン・ソフ」の本性を彼らは「円」で象徴させたのである。

  • このような考え方をすれば、この「神」は単に中心であるばかりでなく「領域」全体でもある。その中心化は限定への第一段階であり、それ故「アイン・ソフ」の実態の中で形成される個々の中心は有限的存在である。なぜならいつかは、その原因たる「アイン・ソフ」にまで戻る運命にあるからである。一方「アイン・ソフ」自体は無限であるが、それはあらゆる事物の最終的状態に他ならないからである。「アイン・ソフ」に与えられた円という形象は宇宙空間が、仮説上、大きな水晶の玉の中に閉じ込められていることを表している。その外側には何もない。真空すらないのである。この玉の内側で創造と破壊が起こる。宇宙の誕生、成長、死滅が永遠にその中で行われるのだが、その際に用いられる元素と原動力は、この曰く言い難い玉を満たしている透明な実態の内部にある。この玉こそ「宇宙卵」であり、かの終末の日、「我らと共にあれ」の日まで決して壊れることはない。

アンドロギュのす.jpg

 両性具有の神Androgyneです。現代、両性具有の神は「悪魔的」とされていますが全く違います。宇宙の最初の中心点が理の源であることは間違い無いのですが、それがどこから来たのかは分かりません。その象徴の円は理から外れ「単独の三位一体」で形をなします。故にその擬人化はわざと理から外れた姿で描かれます。上記の引用にもありますが、最も古き者は常に性別のないものとして考えられていました。これが両性具有の神の真実です。つまり円の擬人化が両性具有です。もし上記のAndrogyneが悪魔的に見えるなら、その概念がどこから来ているのか考えるべきです。元々は一つであった「科学」と「宗教」を「全く別のもの」としか捉えられないその概念はどこからやって来たのですか?

320px-Sun_symbol.svg.png

 この象徴はサーカムパンクト(circumpunct)と呼ばれる最も古く最も広義の意味をもつ象徴とされています。古代エジプトでは太陽神ラーの象徴、ピタゴラス学派ではモナドの象徴、東洋哲学では第三の眼や啓示の光の印、初期の神秘主義では神の眼と呼ばれ、現代天文学では太陽の象徴です。そして、カバラでは最高位の「ケテル」と「最も深遠なる秘密」の象徴です。こう書かれると何が何だか分かりませんが、前述のカバラ宇宙論を理解すれば「始まりの点」と「その力の円」、つまり最も古い根本原理の象徴であると理解できます。そしてこの世は上の如く下も然り。

 

 中心点を宇宙の始まりと考えれば前述の「始まりの点」と「その力の円」ですが、中心点を太陽とすれば円は太陽系を示し、中心点を銀河の中心とすれば円は銀河系を示します。円を深く理解すれば、最も根本的な原理を示していると簡単に分かる良い例です。

 

 しかしながら、試しに「サーカムパンクト」で検索をかけて見てください。まともに答えを書いている人が何人いるでしょう?両性具有の神と同様、その根本的な意味を知らなければ全く別の意味が勝手に刷り込まれてしまいます。その刷り込まれたものは「記憶」として定着してしまいます。そして、定着してしまった自身の記憶は自分では疑えません。ゆめゆめ以下の言葉を忘れないでください。

 そこで知恵は、その真理を象徴で包み、その直感を寓意で覆う。信条・儀式・詩は比喩であり象徴である。無知なものはそれを文字通りに受け取り、自分で言葉の牢獄を建てる。そして、痛烈な言い回しや、より痛烈な皮肉でこの牢獄に入ってこないものを嘲る

第三十三階位騎士レノルド・E・ブライト

bottom of page