本件は、オリジン(Origin)について綴ってゆきます。オリジンとは直訳しますと”原点”って意味です。別の言い方ですと”起源”とも表せます。タイトル画像のダン・ブラウンの小説「Origin」も”起源”についてが一つのテーマとして書かれています。
ここ一週間はずっとこの小説に没頭しておりまして、読み終えた時に様々な事を再確認いたしました。本件では「オリジン」からの抜粋を幾つかご紹介すると共に、オリジン(起源)についても再度考察してゆきます。
まず、このダン・ブラウンの小説の冒頭にはこう書かれています。
この小説に登場する芸術作品、建築物、場所、科学、宗教団体は、全て現実のものである
そうゆう意味でもこの小説は一読の価値有りです。また、ダン・ブラウンの過去作品でもあります「ダヴィンチ・コード」や「インフェルノ」もお勧めです。
そんな『Origin』からいくつか引用しながら進めさせて頂きます。まずは主人公ロバートの言葉から。モノの見方の説明です。ロバートは向かい合っている相手に対し以下のローマ数字の数式が ”正しい” か ”正しくない” かを問います。あなた様はどちらだと思います?
Ⅰ+ XI = X
数字に直しますと、1+11=10 となります。正しくないですよね?ですがこの数式は、ロバート側では正しいのです。向かい合っているロバート側の目線で見てみましょう。
X = IX +Ⅰ
ロバート側の目線では、10=9+1になり正しいのです。そしてロバートはこう言います。
「視点を変えるだけで、他人にとっての真実が見えるときもある」
さすが世界的な物書きです。いつもわたくしが述べている事と同じなのですが、シンプルに要点だけをまとめ伝えるこの文章力と発想力はわたくしにはございません。こうゆう伝え方もあるのだなぁ〜、と学びましたので参考までに引用させて頂きました。では次です。
ロバートは赤信号で停車するフェデックスのトラックを指しこういいます。
「この会社名はコードなんだよ。ここに第二の意味が含まれているんだ。会社の前進を示す隠された象徴が。」
答えの分からない相手に対してロバートはこう続けます。
「いつかわかるさ。一旦見えたらそうとしか見えなくなる」
コレに関しては小説内で答えを教えてくれませんのでわたくしもそうします。是非ご自分で解読してみて下さいまし。会社の前進を示す象徴は、ロバートの言う通り一旦気がつけば本当にそうとしか見えなくなります。では次に進みます。
ロバートはフェデックスの象徴を”コード”と呼びました。次は、このコードについての説明を抜粋し引用致します。
「コードとパターンは全く異なる。だけどこの2つを混同している人は多い」
「パターンと言うのは、ハッキリと形を持った繰り返しの事だ。パターンは自然界のあらゆるところに生じる。螺旋上に並ぶヒマワリの種、蜂の巣の六角形の部屋、魚がはねた時、池に出来る円形の波紋などだよ」
「コードは基本的に情報を伝えるものでなくてはならない。単にパターンを形成するだけでなく、データを運び意味を伝達するという事だ。コードの例は、書き言葉、楽譜、数式、コンピューター言語、それに十字架の様な単純な象徴もそうだ。これらの例はすべて、螺旋上に並ぶヒマワリの種には出来ない方法で、意味や情報を伝える事が出来る」
「コードとパターンのもう一つの違いは、コードは自然には生じない点だ。楽譜が木から芽吹く事はないし、象徴が砂におのずと浮かび上がる事もない。コードは知性の働きで意図して作られたものだ」
「つまり、コードの背後には必ず目的や意識があると言う事」
πやφは自然界に君臨する絶対法則のパターンです。フィボナッチ数、リュカ数もパターンです。パターンは絶対でありぶれる事はありません。ですから支配層はパターンをコード化し象徴として用いています。逆に考えれば、何が本当に大切な事か理解できます。
では最後の引用です。上記を踏まえ、小説内でも引用されているアントニ・ガウディの言葉を引用します。
どんなものも新たに生み出す事は出来ない。それは自然にもとから記されているのだから。
独創性(オリジナリティ)は起源(オリジン)への回帰によって成り立つ。
わたくしの過去記事では様々な時代の様々な象徴や数字、幾何学を取り上げてまいりました。As Above So Below を軸に、時には広大な宇宙の端っこや、時には人体の内部の原子を覗きこみ、上から下まで全て繋がっている事を綴ってまいりました。独創的な芸術作品から宗教画、はたまた国の象徴から企業のロゴまで、一見バラバラで個性的に見えるそれらは、モノの見方を理解してから再度見直すと全ては一つへ回帰しました。つまり、コードが示しているものはパターンへの回帰。
それはオリジンへの回帰でもあります。
「オリジン」を読み終え、ガウディの言葉でふと気がつき、重要な象徴をわたくしなりにまとめ表現してみようと思い2つの画像を作ってみました。そして、作り終えて思った事は、”オリジンはやっぱりあそこなのだ”と。
わたくしが作りました2つの画像、一つは男性的であり、一つは女性的です。あとは今までの記事でご紹介しました中世の芸術コードや自然パターンをちりばめ、出来る限り簡素に表現してみました。2つの画像にどれ程のAbove the Numbersが見つけられるか、あなた様の記憶をフル回転させながら推理し、判断して楽しんで頂けたら幸いです。
こちらは男性的な画像です。男性の脳はロジカルに物事をとらえます。
お次は女性的な画像です。女性はエモーショナルに物事をとらえます。
どちらの画像も同じ事を示し、最終的には51°の角度を持つあの建築物へと導かれます。
オリジンへの回帰……
そして思う事は、いつの時代もパターンの重要性をこれでもかと言うほどにコード化しています。神として輝ける御神体を描こうとも、芸術として人体の黄金律を描こうとも、幾何学をいかに禍々しく描こうとも、暗に示しているパターンは同一でした。
最後に、わたくしの思いを簡潔に述べている一文を、再度ダン・ブラウンから引用し締めとさせて頂きます。
科学と宗教は同じモノを違う言葉で表している。
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